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・食道癌 |
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1)食道とは?
食道はのどと胃をつなぐ管状の臓器で食物の通るところです。
食道は部位により頚部食道、胸部食道、腹部食道と呼びますが、
最も長い胸部食道に癌が発生することが多いようです。
従来、食道癌は治すことが非常に困難な癌でした。
それは食道が周りを心臓、大動脈、肺、気管などに囲まれており、手術が大変難しい
位置にあるからです。しかし、先人医師たちの大変な努力と果敢に手術に挑んだ結果、
手術による治癒率が45%前後と向上してきています。 |
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2)食道癌の治療
食道癌の治療では、病気の進行度や体の状態によって治療法を選びます。
@内視鏡的治療
癌が食道の粘膜という表層にとどまっている早期の段階では
内視鏡による切除が可能です。喉を麻酔し内視鏡を胃内に挿入します。
そして癌部に生理食塩水を注入して病変部を盛り上がらせ
電気メスにて癌を切除します。
A内視鏡治療の実績・治療成績
ただ今、準備中です。もうしばらくお待ちください。
B手術による治療
癌がある程度進行し内視鏡による治療ができないときには
手術による治療が必要です。胸部食道は周りを心臓、大動脈、肺、気管などに
囲まれるなど、手術が難しい位置にあります。
また、食道の切除に伴い胃を用いた再建手術も併せて行うことが必要なので、
手術は開胸に加え、開腹、および頚部の手術も必要となります。
手術に必要な時間は平均7〜8時間と長時間を要し、
かつ大掛かりなものです。従って、患者さんの体におよぶ影響は甚大で、
生命の危険が大きい手術です。しかし、手術法や回復のための治療法の進歩により、
約30年前では完治する確率は10〜20%だったのが、
現在では40〜50%と飛躍的に改善しています。
これに加え、最近の研究では手術の前に抗癌剤治療を行なうと、
さらに10%前後の治癒率の改善が得られることが明らかとなってきており、
今後に期待されています。
近年、小さな傷で治療できる内視鏡を用いた鏡視下手術が
東北大学病院で行なわれています。この手術は開胸開腹手術に比べ痛みが少なく、
術後の呼吸機能の温存に有利である利点がありますが、手術時間が長く、
一部の医師にしかできないという欠点もあります。
当院では、手術の安全性を重視しこの方法は行なっていません。
C手術以外の治療法
また、高齢であったり心臓や肺などの機能が弱く手術には耐えられない場合や、
どうしても手術を受けたくない方は、
化学療法に放射線療法を加える治療により一定の効果を上げることができます。
抗癌剤の副作用や放射線障害の心配はありますが、
この治療により約35%の完治率が得られます。
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D当科の治療成績
平成7年から17年までの11年間に、当科では95例の食道癌切除を行ないました。
癌の進行のために完全に切除できなかった5例を除く90例に対し、
完治を期待できる手術を行うことができました。
癌の進行度別では、0期8例、I期13例、II期28例、III期28例、IVA期12例でした。
その手術の成績は、5年生存率でみると、0+I期67.3%、II期46.6%、III期31.6%、
IVA期20.0%、であり、全体の症例では43.8%でした。
0+I期の成績が低めに出ましたが、合併症による在院死亡例が多かったことが
その原因と考えています。全国での成績は、5年生存率41.7%とされており、
当院での成績(43.8%)と同等です。
ですから当院の食道癌手術成績は全国水準の治療であると言えます。
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食道癌の治療成績
病期 |
当院の5年生存率 |
0+I 期 |
67.3% |
II 期 |
46.6% |
III 期 |
31.6% |
IVA期 |
20.0% |
全体で |
43.8% |
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全国の病院での治療成績と同等の結果でした。当院の食道癌治療は
全国レベルといえます。
術前化学療法を行うことで、さらに治療成績が改善するものと考えています。 |
E当科での手術の危険性、死亡率
手術のために術後1カ月以内になくなった方はいませんでした。
しかし合併症によって一度も退院できずに亡くなった方を7例(7.8%)認めました。
死亡原因別では、肺炎が3例、脳梗塞が1例、
縫合不全から敗血症となったものが3例でした。 |
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・大腸癌・直腸癌 |
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近年、大腸癌、直腸癌は増加傾向にあり、高齢化とともに手術の数も
増えてきています。健康診断では便潜血反応検査(検便検査)を行っていますが、
潜血反応陽性者の中に大腸癌、直腸癌の患者さんが見つかることが多いので、
積極的に検査を受けるのが良いと考えられます。
この癌も治すためには内視鏡あるいは手術で癌を切除することが必要な病気です。
抗癌剤治療も一定の効果があることがわかってきていますが、
これだけで病気を治すことはできず、抗癌剤治療は手術の前あるいは後に
手術の効果を高めるために行うのが一般的です。
1)大腸・直腸癌の治療法
@内視鏡的治療
癌が大腸・直腸の粘膜にとどまっている病変に対しては
内視鏡的粘膜切除術(endoscopic mucosal resection:EMR)を行い
完治させることができます。
それ以上の病変に対しては、手術療法を行うのが標準的な考え方です。
A内視鏡治療の実績・成績
ただ今、準備中です。もうしばらくお待ちください。
B外科的治療(手術)
大腸癌の場合、病巣から約10cmの正常な大腸とその領域のリンパ節を
扇状に切除するのが治療の原則です。
そして、大腸同士をつなぎ合わせます(これを吻合といいます)。 |
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直腸癌の手術では、人工肛門になるかが心配されます。
人工肛門が必要かどうかは、癌のできた場所が肛門に近いかどうかや、
癌の大きくなり方で決まると考えてよいと思います。
最近の手術法の進歩で、肛門から5〜6cmより中にできた場合は肛門の温存が可能に
なってきています。それより肛門側の場合は
癌をとり残さないように肛門を含めて直腸を全摘する方がよいでしょう。
仮に人工肛門となっても、十分に訓練をすれば人工肛門をつけた状態で
日常生活は以前とほぼ同じに過ごすことができます。
病気を治すためには、前向きな気持ちで手術を受けることが大切です。 |
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また大腸癌・直腸癌は、特に肝臓に転移をおこしやすい癌であることが
知られています。経過中に約20%の方が肝転移をきたすとされています。
以前は、肝転移を治すことはできないと考えられていましたが、
1980年頃から肝転移の場合でも切除をすれば治ることがわかり、
現在では切除可能な肝転移には積極的に手術を行なうようにしています。
また、直腸癌が高度に進行し周囲の臓器に及んだ場合でも、
生活の質(QOL)は低下しますが、
骨盤内臓全摘術という方法で癌の全摘出を目指すようにしています。 |
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2)当院での手術実績
平成7年から17年までの11年間に当科で手術を行なった
大腸・直腸癌症例は667例でした。667例のうち、開腹したところ
高度の進行のため切除できなかった57例を除く610例に
3)治療成績
大腸癌の術後の5年生存率は0−I期83.7%、II期80.8%、IIIa期68.3%、
IIIb期65.7%、IV期44.7%であり、直腸癌の術後の5年生存率は
0−I期88.7%、II期79.8%、IIIa期63.1%、IIb期43.6%、IV期18.2%でした。
全国の成績は、大腸癌の5年生存率は0期94.8%、I期90.6%、II期83.6%、
IIIa期76.1%、IIIb期62.1%、IV期14.3%であり、直腸癌では0期92.9%、
I期89.3%、II期76.4%、IIIa期64.7%、IIIb期47.1%、IV期11.1%とされています。
当院の成績は 0−I期において若干低い傾向がありますが、
その他の病期ではほぼ同等の成績であり、
大腸癌IV期ではむしろ全国平均を大きく上回っているという結果でした。
大腸癌の治療成績(5年生存率)
病期 |
当院の5年生存率 |
全国の成績 |
0−I 期 |
83.7% |
92.7% |
II 期 |
80.8% |
83.6% |
III a
期 |
68.3% |
76.1% |
III b
期 |
65.7% |
62.1% |
IV 期 |
44.7% |
14.3% |
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直腸癌の治療成績(5年生存率)
病期 |
当院の5年生存率 |
全国の成績 |
0−I 期 |
88.7% |
91.6% |
II 期 |
79.8% |
76.4% |
III a
期 |
63.1% |
64.7% |
III b
期 |
43.6% |
47.1% |
IV 期 |
18.2% |
11.1% |
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4)手術の危険性、死亡率
手術直接死亡例は3例(0.4%)でした。これら3例はすべて心筋梗塞
あるいは致死的不整脈による循環器疾患によるものでした。
また、在院死亡例は手術直接死亡例を除くと10例でした。
その死亡原因は肺炎が2例、敗血症が2例、癌死が6例でした。 |
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・乳癌 |
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1)乳癌治療の考え方
乳癌治療の基本は、腫瘍の十分な切除とリンパ節郭清を行う手術療法に、
女性ホルモンを抑えるホルモン療法、抗癌剤治療を組み合わせることです。
手術には乳房を全摘する方法と乳房を温存する手術があります。
従来では全例乳房を全摘する手術が行われましたが、欧米で乳房温存手術が盛んに
行われるようになり、わが国でも20年ほど前から乳房温存療法が行なわれ始め、
現在約60%の乳癌患者さんが温存治療を受けています。
2)乳房全摘か?温存治療か?
全摘手術か温存手術かを選択するには、
それぞれにメリット、デメリットがあることを知る必要があります。
| @ |
全摘手術の方が局所再発が少ない |
| A |
温存治療だけでは残存乳房に約30%の確率で再発が起きるので、
術後の放射線治療が必要。
これによって再発は5年で3%まで減らすことができる。
しかし、温存治療の方が癌が良く治るということではない。 |
| B |
長期の生存率では全摘手術も温存手術も同等と言われているが、
温存治療の後に局所再発をきした場合は改めて全摘手術を行う必要がある。 |
| C |
全摘手術の後に一定期間経てば、乳房再建手術を受けて乳房のふくらみを
取り戻すことは可能である。 |
| など。 |
気をつけなければならないのは、無理に乳房を温存することで
癌を取り残してしまう危険性があることです。
乳房は温存したけれど癌も取り残してしまったのでは癌を治すことはできません。
ですから、癌を完治させるためという観点では、いくつかの条件をクリアした場合に
乳房温存療法は行われるべきと考えています。
日本乳癌学会のガイドラインによると、
| @ |
腫瘍の大きさが3cm未満であること |
| A |
乳頭と近すぎないこと |
| B |
いくつもの乳癌が多発していないこと |
| C |
リンパ節転移はないか、あっても少ないこと |
が一つの基準と考えています。
最近、他の施設ではこの基準がかなり緩められ、無理な乳房温存療法が
増加しつつあるようです。このことには気をつけなければなりません。
具体的にどういうことかというと、乳房の変形を少なくするために
十分な乳腺の切除をしなかったり、リンパ節の切除を十分にしなかったりなどです。
これらの不備を放射線治療や抗癌剤治療で補おうとする施設も増えてきています。
今のところ、その弊害は表立ってはいませんが、
近い将来には温存治療での高い再発率、生存率の低下などの心配が残ります。
なぜなら、全身に再発してではもう完治はできないからです。
3)手術の実績
平成4年から平成17年の14年間に行った手術件数は597例でした。
平均年齢は56.4歳でした。
手術術式の内訳としては、乳房全摘術が乳癌手術の9割を占めており、
乳房温存手術は約1割でした。手術術式はすべて患者さん本人の
インフォームド・コンセントを基にした選択によりますが、
他施設に比べると乳房温存手術の割合が少ない結果でした。
その理由は、
| @ |
乳房温存療法では放射線療法が必要で、
放射線治療に対する恐れの気持ちがあること |
| A |
放射線治療を受けなければ約30%、放射線治療を受けても約10%の
局所再発の心配があること |
| B |
局所再発の心配があるのならば、
乳房全摘手術をうけて精神的にすっきりしたい |
などでした。
しかし、平成21年には乳房温存手術を希望される方が、
全体の30%まで増加しており、これから当院でもこの方法が増えるものと考えています。
病期別にみると、0期16例、I期256例、IIA期145例、IIB期97例、IIIA期20例、IIIB期26例、
IV期20例でした。
4)治療成績
各病期別の5年生存率および10年生存率はそれぞれ、病期I期96.4%、89.9%、
IIA期88.5%、86.9%、IIB期87.5%84.4%、IIIA期79.3%、79.3%で、IIIB期60.3%、48.3%、
IV期では24.3%、24.3%でした。国立がんセンター中央病院のホームページによると、
国立がんセンター中央病院乳腺外科では1704例の乳癌手術症例の成績を
5年生存率でI期90.6%、II期78.6%、IIIA期64.1%、IIIB期33.0%、IV期10.9%であると
公開しています。一概に比較できませんが、当院の成績は5年生存率において
国立がんセンター中央病院の成績をしのいでいると考えられました。
加えて、平成18年12月5日に日本経済新聞社が乳癌治療ランキング表を発表
しましたが、上位30病院の成績と比較しても特別に劣るものではありませんでした。
当院では乳腺専門医といわれる医師の常勤はなく、
消化器外科を専門とした一般外科医が乳癌診療を併せ行っています。
これからますます増加することが予想される乳癌治療においても、当科は乳癌死を
できるだけ出さないという点において水準以上のレベルと考えられます。
乳癌の術後の生存率
| 病期 |
5年生存率 |
10年生存率 |
| I 期 |
96.4% |
89.9% |
| IIA期 |
88.5% |
86.9% |
| IIB期 |
87.5% |
84.4% |
| IIIA期 |
79.3% |
79.3% |
IIIB期 |
60.3% |
48.3% |
| IV期 |
24.3% |
24.3% |
5年生存率
病期 |
当院の5年生存率 |
国立がんセンター |
I 期 |
96.4% |
90.6% |
IIA期 |
88.5% |
78.6% |
IIB期 |
87.5% |
IIIA
期 |
79.3% |
64.1% |
III B期 |
60.3% |
33.0% |
IV期 |
24.3% |
10.9% |
5)手術の危険性・死亡率
治療成績をみると2例の在院死亡例を認めました。死因はいずれも肺塞栓症で
1例は術後4日目に亡くなり、1例は退院予定前日に亡くなっています。 |
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・甲状腺癌・癌を疑う甲状腺腫 |
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1)「甲状腺」の病気
乳癌検診などで偶然に甲状腺の異常を指摘される場合が多くなっています。
「甲状腺」という病気があるのではありません。甲状腺の異常を大きく分けると、
甲状腺癌、甲状腺腫、腺腫様甲状腺腫のようにしこりを作る病気と、
慢性甲状腺炎(橋本病)のようにだんだん甲状腺機能が低下していくため、
甲状腺ホルモンを補う薬を飲む必要性が出てくるかどうかの病気や、
甲状腺機能亢進症(バセドウ病)のように甲状腺の働きが異常に強いために
薬で抑える必要がある病気に分けられます。これらの診断は、
採血の検査とレントゲン検査、超音波検査で大体の診断が可能です。
2)甲状腺癌
甲状腺癌はほかの癌に比べると進行も遅く、
すぐに命にかかわることの少ない癌です。しかし、放置すると傍にある気管や食道、
頚動脈、声を出す神経(反回神経)に癌が及んでしまい
さまざまな症状を引き起こしたり、全身に転移をおこせば命にかかわってきます。
よって、癌と考えられる腫瘍の場合は手術で切除するのが良いと考えています。
良性か癌かの判断に迷う場合は定期的な検査によって経過を観察し、
やはり癌の疑いが強いと考えられる場合には手術を勧めるようにしています。
3)手術の実績
甲状腺の手術は全身的な影響が少ない手術ですが、全身麻酔が必要ですし、
甲状腺の全摘が必要な場合は一生、甲状腺ホルモン剤の服用が必要です。
また、甲状腺のすぐ後ろには声を出す反回神経があり、
手術時に触るために麻痺を起こし声がかすれてしまうことや、
甲状腺のそばにある上皮小体(副甲状腺)の働きが弱くなってしまい、
血液中のカルシウムの値が下がり手がしびれたり、
こわばったりの症状が出る危険があります。
手術を受ける際はよく医師と相談の上でお決めくださると良いと思います。
平成11年から17年の7年間に、当科では68例の甲状腺癌の手術を行ないました。
うち、1例が切除不能で術後1年6か月に癌死した他は癌による死亡例がありません。
また、1例で術後1日目に脳梗塞を発症し、術後2年で肺炎により在院死しています。
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H.11 |
H.12 |
H.13 |
H.14 |
H.15 |
H.16 |
H.17 |
| 甲状腺の手術 |
29 |
37 |
22 |
15 |
16 |
21 |
7 |
うち甲状腺癌の手術 |
18 |
22 |
8 |
7 |
6 |
4 |
3 |
|
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・腸閉塞 |
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1)腸閉塞とは
小腸疾患で最も多いのは腸管癒着症、腸閉塞症です。
「癒着を起こす」ということはどういう事なのだろうと皆さん疑問をお持ちと思います。
実は、開腹手術を受けたことのある患者さんのお腹の中では、ほぼ100%の確率で
腸のどこかはお互いにくっつき合って、腸が曲がったり、
多少なりとも捻じれた状態となっています。これが癒着です。
癒着があるかどうかは外から見たり、レントゲンをみたり、CT検査をしても分かりません。
また、困ったことに癒着は一度起こると自然に溶けたりはしません。
多くは、この状態でも日常生活が障害されることは少ないのですが、
消化の悪いものを食べたり、暴飲暴食によって一度に多くの食べ物が
癒着箇所に集まると腸は目詰まりを起こしてしまい、腸の中身は通っていかず、
お腹が痛くなり、お腹はふくれ吐くようになります。これが腸閉塞です。
場合によっては、腸が捻れたり(腸捻転)、腸に穴が開いたり(穿孔性腹膜炎)し、
すぐに手術をしないと致死的になることもあります。
2)腸閉塞の治療
@保存的治療:
腸閉塞となってしまった場合は、まず入院し絶飲食で腸を休ませ、
点滴で体の状態を保ちながら腸の中身が自然に通るようになることを待ちます。
多くは(約3分の2の方)自然に改善に向かいます。
A外科的(手術による):
なかなか改善しなかったり、何回も腸閉塞を繰り返す場合や、
腸捻転、穿孔性腹膜炎を起こした場合などでは、放置すれば命にかかわるので
手術をしなければなりません。
安全に手術を行うためには手術のタイミングがとても重要で、
担当医との綿密な連携が必要です。次のように年間30~50件の手術を行なっています。
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H.11 |
H.12 |
H.13 |
H.14 |
H.15 |
H.16 |
H.17 |
| 腸閉塞症の手術 |
39 |
46 |
47 |
53 |
35 |
28 |
34 |
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・虫垂炎 |
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「盲腸炎」と俗に言われている病気です。
薬が良くなかった時代には、本疾患が腹膜炎を引き起こし、
それが基で死亡した方が多かったといわれていますが、
今でも、決して安心できる病気ではないことを銘記しておく必要があると思われます。
現在でも病気が悪化して腹膜炎になってしまうことも多く、
早期に病院を受診して適切な治療を受けることが大事です。
また、手術は簡単なものと思っている方がほとんどと思いますが、
虫垂炎の手術は決して簡単なものではなく、
その難しさは外科医でなければ理解できないものかもしれません。
それは虫垂の位置が患者さんによって違い、
手術してみないと正確な場所が判らなかったり、
炎症の程度によって手術が難しくなるからです。
手術は腰椎麻酔あるいは全身麻酔で行います。
炎症が高度である場合は大きな傷で手術する必要があります。
通常、虫垂切除を行いますが、炎症が高度で膿が大量に貯留していた場合は
大腸を切除したり、手術後に腹膜炎を発症させないためにドレーンという管を
お腹の中に入れる必要が生じます。
最大の合併症は、手術したにもかかわらず再びお腹の中に膿が貯まってしまうことで、
これを遺残膿瘍といいます。抗生物質が無効な場合は再手術が必要となりますが、
腹膜炎の手術には常に起こりうる合併症であるとの認識が必要と思われます。
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H.11 |
H.12 |
H.13 |
H.14 |
H.15 |
H.16 |
H.17 |
| 腸閉塞症の手術 |
29 |
45 |
39 |
32 |
39 |
20 |
22 |
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・胆石症 |
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胆石症は頻度が高い疾患で、腹痛、発熱、黄疸などの症状で発症します。
胆石のでき方によって
@胆嚢結石(胆嚢の中だけに胆石がある場合)
A総胆管結石(胆嚢だけでなく総胆管にも胆石がある場合)
B肝内結石(胆嚢、総胆管だけでなく肝臓の中にまで胆石ができた場合)
に大別されます。
@胆嚢結石の治療
治療の基本は胆石を胆嚢とともに切除することです。
胆石だけを切除しただけでは、再び残った胆嚢に胆石ができてしまうからです。
胆嚢を切除すると後遺症が起こるのではないかと心配する人が多いと思いますが、
胆嚢の欠損症状は軽微で、
一時的に下痢をし易くなる人がいますが2〜3ヶ月で治まってしまうのが普通です。
手術は開腹による方法と、腹腔鏡による内視鏡手術があります。
内視鏡手術は傷の痛みも少なく、入院日数も短くて済むなどの利点も大きく
優れた手術法ですが、出血、胆管損傷、肺塞栓など重篤な合併症が多い傾向が
あります。致死率も開腹法に比べると高いといわれています。
また、炎症が高度な場合は、内視鏡手術では手術が困難で、開腹法に移行しないと
手術ができないことがあります。このような場合、われわれは躊躇することなく
開腹法に手術を切り換えて、安全に手術を終えるように心がけています。
A総胆管結石の治療
胆嚢だけでなく総胆管にも胆石が存在する疾患で、
胆嚢の切除と総胆管結石の摘出が必要です。手術は全例開腹法にて行っています。
総胆管結石は胆管を切開して摘出しますが、石の摘出後に胆管の切開部分に
Tチューブという管を3〜4週間入れておく必要が生じます。
これは、チューブを入れないで胆管の切開部を全部縫ってしまうと、
むくみ等で胆汁の流れが悪くなり、黄疸という重篤な合併症を引き起こしてしまうから
です。従って、入院は術後約4週間の期間が必要となります。
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H.11 |
H.12 |
H.13 |
H.14 |
H.15 |
H.16 |
H.17 |
胆石症の手術 |
99 |
107 |
104 |
103 |
126 |
94 |
74 |
胆嚢結石症 |
74 |
79 |
76 |
78 |
102 |
68 |
54 |
|
34 |
40 |
37 |
33 |
23 |
21 |
19 |
総胆管結石症 |
25 |
28 |
24 |
22 |
24 |
24 |
20 |
B肝内結石の治療
胆嚢、胆管のみならず肝臓の中にも胆石ができる病気で
難病の一つと考えられています。肝臓からどんどん胆石が作られているので、
胆嚢や総胆管の胆石を摘出しただけでは病気はすぐに再発してしまいます。
この場合、胆石のできる肝臓を切除することが必要となります。
肝切除術は出血も多く手術時間も長くかかる大手術です。
それだけ生命の危険も大きな手術となりますが、
肝切除でしか病気を治すことができないので、十分に説明を聞いて納得したかたちで
手術を受けるようにするのが良いと考えられます。
肝内結石症治療の実績
9年間に21例の手術症例を経験しました。
行った手術術式別では、肝外側区域切除術8例、肝左葉切除術9例、
左尾状葉合併肝左葉切除術1例、右状葉合併肝後区域切除術1例、
肝内側区域切除術2例でした。
これらの症例に手術直接死亡例、在院死亡例は認めませんでした。 |
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・自然気胸 |
1)自然気胸とは?
自然気胸とは肺にブラと呼ばれる袋状の弱い部分ができ、これに穴が開くことによって
空気が肺から漏れてしまい、正常の肺がつぶれてしまう病気のことです。
若い男性と喫煙歴が長い中年以降の男性に多い病気で、高齢化社会が進むにつれて
増加しつつあります。高齢者では、肺に空洞ができる肺気腫という病気が原因の場合が
ほとんどです。この病気は前触れなく発症し、咳・呼吸困難などの症状が出ますが、
重症になると心臓機能も障害され致死的な結果となるので恐ろしい病気であると
考えられます。
胸部のレントゲン写真で診断がつきますが、
肺のつぶれ具合によっては胸の中にドレーンという管を刺し込んで漏れた空気を
かき出す必要があります。どの位弱い部分があるのかはCTの検査によって
明らかになりますが、両肺にブラがあり両側同時に気胸となると致死的になると
危惧される場合や、何度も気胸を繰り返す場合、ドレーンによる治療で空気漏れが
塞がらない場合は手術が必要と考えています。
手術は比較的単純なブラの場合は、
痛みが少なくて済む胸腔鏡による手術が可能ですが、ブラの数が多かったり、
複雑なでき方をしている場合は、安全に手術を行うため開胸手術で行うことにしています。
2)手術の実績
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H.11 |
H.12 |
H.13 |
H.14 |
H.15 |
H.16 |
H.17 |
| 自然気胸 |
6 |
0 |
1 |
3 |
5 |
8 |
3 |
3)治療成績
28例中1例〔3.7%〕が再発手術症例でした。両側例が1例みられました。
これらに対して鏡視下肺部分切除術を10例に、開胸による切除術を18例に行いました。
後出血によって再開胸術を1例〔3.6%〕に行いましたが、手術死亡例は認めませんでした。
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・腹部大動脈瘤 |
腹部大動脈瘤という病気は、動脈硬化などが原因となり、
心臓から直接出る直径2〜3cmの太さの大動脈という血管がこぶ状に
膨らんでしまう病気です。こぶが小さいうちは特に問題ないのですが、大きくなると破裂を起こし急死することがある恐ろしい病気です。直径5cmを越すと破裂の危険が
急激に大きくなり、5cmを越すといつ破裂しても不思議ではないといわれています。
一度破裂してしまうと、多くの場合は救急車で病院にたどり着く前に死亡してしまい、
運良く手術を受けられても、救命率は約50%と低いのが現状です。
| 大動脈瘤破裂の恐ろしさ |
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動脈瘤はその太さが5cmを超えると、
年に5%の確率で突然に破裂します。 |
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破裂すると大量出血によって
生命が危険になります。 |
約半数はその場で死亡し、
手術を受けることができても救命率は
約50%と低率です。
破裂したときの死亡率は70%を超えるのです。 |
この病気は、こぶ状に変化した大動脈を人工血管に置き換える手術でしか
治すことができません。手術が必要かどうかの一つの目安は、
動脈瘤の直径が5cmを越す太さであるかどうかですが、動脈瘤となる患者さんは
健康な人に比べて全身の動脈にも動脈硬化の変化が進んでいるので、
手術に伴って心臓、脳などの臓器に大きな負担がかかってしまい、
心筋梗塞、脳梗塞などの合併症の発生率が高く、手術死亡率も4%と高く、
危険が大きい手術といえます。患者さんによっては、動脈硬化の変化が強すぎて
手術に耐えられないという方も多いと思います。
これらの状況をよく理解し、
担当の医師とよく相談の上で治療の方針をお決めくださると良いと思います。
手術の実績
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H.11 |
H.12 |
H.13 |
H.14 |
H.15 |
H.16 |
H.17 |
| 腹部大動脈瘤の手術 |
9 |
2 |
8 |
8 |
6 |
5 |
6 |
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・成人のヘルニア |
成人のヘルニア(俗に言う「脱腸」)は加齢などによってお腹の筋肉・筋膜が弱くなり、
弱くなったところからお腹の中とつながっている袋が飛び出してきて、
立ったり力が加わったりした時などにお腹の中の腸などの臓器が
外に飛び出す状態のことです。ただ飛び出すだけならば多少の痛みを感じるだけですが、飛び出した臓器が袋の中でしめつけられたりすると臓器が腐ったりします
(ヘルニア嵌頓といいます)。そうなると腹膜炎を併発しますから、
命が危険な状態となります。何回も脱出を繰り返す場合や痛みを伴う場合などは
手術による治療が適当と考えられます。
ヘルニアの手術では飛び出した袋を切除し、弱くなった部分を補強するという
2つのことを行う必要があります。最近、手術の痛みを少なくしたり
再発を少なくする目的で、メッシュという人工物を用いる手術が全国的に広まっています。
従来の手術方法では、もともと体に備わっている横筋腱膜弓という部分を用いて
補強を行うのですが、手術後にこの部分が更なる加齢によって弱くなってしまえば
再発をきたすし、手術後一定期間(約2〜3週間)、突っ張る症状をおこすので、
加齢性変化をきたさないメッシュを補強材に用いればそのようなことが
少ないはずだという考えから来たもので、考え方自体は良いと思われます。
しかし、メッシュという人工物が体内に入れられることでの不都合も
生じることがあります。例えば、メッシュが膀胱に突き刺さったり、
傷の難知性の化膿を起こしたり、メッシュが腸と癒着を起こしたり、
異物感が残ったりすることなどです。また、手術方法も、メッシュプラグ法、PHS法、
Kugel法とどんどん見直しがされていることをみると、まだ安全な方法ではない
ということがいえると考えられます。
これらのことを総合し、現在のところわれわれは、初回の手術時にはまず従来の
メッシュを用いない方法で手術を行い、再発した場合などメッシュ以外に
どうしても補強する方法がない場合はメッシュを用いるようにしています。
手術の実績
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H.11 |
H.12 |
H.13 |
H.14 |
H.15 |
H.16 |
H.17 |
| 成人ヘルニアの手術 |
66 |
89 |
68 |
81 |
90 |
66 |
70 |
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