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 外科(1)

 診療体制について
1.当科の業務

現在当科が行っている気仙沼市立病院での業務は、
@通常の外科疾患に対する手術・化学療法・緩和ケアなどの医療業務
A麻酔医としての医療業務
B透析担当としての医療業務
を行っています。仙台医療圏から最も離れた気仙沼医療圏の医療を保つために、
本来の外科業務とは異なる医療業務をせざるを得ない状況ですが、
標準治療を行うように勉強しつつ努力しています。


2.日常の勤務体制

外科週間予定表
 
外来 横 田 横 田 大 友 大 友 横 田
大 友 峯 岸 横 山 横 山 岩 根
峯 岸 小 坂 岩 根 石 田 阿佐美
石 田   阿佐美    
血管外来
(第1・3木曜日)
      清 水
(東北大)
 
超音波検査 午 前 午前・午後     午 前
透析回診   大 友   横 田  
  横 山   岩根(峯岸)  
病棟回診  
2階西 横 山 岩 根 横 田 峯 岸 大 友
岩 根 阿佐美 峯 岸 阿佐美 石 田
小 坂 石 田 石 田 小 坂 小 坂
    小 坂    

■ お知らせ ■
 これまでは超音波検査、胃カメラは当日の検査で対応してきましたが、
外科医不足のためこれまで通りの検査ができなくなりました。
超音波検査は基本的に日時を予約の上、改めて受診していただきます。
また、胃カメラや大腸検査は基本的に内科に検査を依頼する
ことになります。患者さまにはご迷惑をおかけしますが、よろしくお願いいたします。
院長  遠藤 渉


3.外科チームの構成と目標

 当科の医師は現在、東北大学医学部第二外科より派遣された8名で構成されています。
これに平成16年度から開始された臨床研修制度下による臨床研修医が加わります。
  一部の患者さんは、それぞれの医師は独立して医療を行なっていると
考えているようですが、われわれは会議で治療方針を決めた上で
患者さんの治療にあたるというように一つの考えのもとに
診療を行なっています。例えば手術は術者・助手の2〜3人のチームで行われ、
その人的配置は手術の難易度や外科医師の効率的な活用が考慮され、
患者さんに公平になるように外科の会議によって最終的に決められています。

   当院には、気仙沼医療圏のあらゆる疾患が集まってきます。少ない医師数で
これらに対応できるように、われわれは「オールラウンドな外科医」をめざしています

「オールラウンドの外科医」とは、一つの専門分野にこだわることなく
あらゆる疾患を治療できる外科医のことです

本ホームページを御覧になればお分かりになると思いますが、
当科では難しい手術も含めて、ほぼすべての外科疾患を治療していることが
お分かりいただけると思います。

  皆様の最大の関心事は当院の「医療の質」がどうなのか、
「大丈夫なのか?」ということだと思います。これらについては、手術数の年次推移や
治療成績、スタッフの経歴をご覧いただきご判断いただきたいと考えています。
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 麻酔について
   手術には麻酔が必要です。麻酔は麻酔医が担当するのが標準化しつつありますが、
全国的な麻酔医不足のために、病院が麻酔科医を確保することが
非常に困難となっています。実は当院では麻酔医派遣のめどが立っていないのが実情です。東北大学病院のような大病院でも
麻酔医不足のために、外科の手術は外科医が麻酔を担当している程なのです。
このような事情から当院では外科医が麻酔を担当せざるを得ず、
整形外科、泌尿器科、婦人科など他の科の麻酔も外科が担当しています。
実際では年間約800〜900件の全身麻酔を行っており、幸いなことに死に至るケースは
今のところありません。

  外科医が麻酔を担当している当院の現状に不安を覚える方も多いかと思われます。
そのような方は遠慮なく申し出てください。
麻酔科が常勤している他院にご紹介させていただきます。
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 当科で治療可能な外科疾患
 1.消化器疾患
  ●食道疾患
    食道癌、食道粘膜下腫瘍、アカラシア、逆流性食道炎、食道裂孔ヘルニア、
特発性食道破裂など
  ●胃・十二指腸疾患
    胃悪性腫瘍(胃癌、胃肉腫、胃悪性リンパ腫)、
胃良性腫瘍(胃ポリープ、胃粘膜下腫瘍)、
胃・十二指腸潰瘍(幽門狭窄症、穿孔性腹膜炎、
内視鏡治療が無効な出血性胃・十二指腸潰瘍)、 十二指腸癌など
  ●小腸疾患
    小腸癌、小腸肉腫、小腸良性腫瘍、腸管癒着症、腸閉塞症など
  ●大腸・直腸疾患
    大腸癌、直腸癌、大腸憩室炎、虚血性大腸炎、
虫垂炎など
  ●胆道系の疾患
    胆嚢結石症、総胆管結石症、肝内結石症、胆嚢炎、胆嚢ポリープ、総胆管拡張症、
急性胆管炎、閉塞性黄疸、胆管癌、胆嚢癌、十二指腸乳頭部癌など
  ●膵疾患
  膵癌、膵良性腫瘍(インスリノーマなど)、急性膵炎、慢性膵炎など
  ●肝疾患
    原発性肝癌、転移性肝癌など

 2.呼吸器の疾患

    肺癌、肺良性腫瘍、自然気胸、膿胸など

 3甲状腺の疾患
    甲状腺癌、甲状腺腫、腺腫様甲状腺腫、慢性甲状腺炎(橋本病)、
甲状腺機能亢進症(バセドウ病)など

 4乳腺疾患

    乳癌、線維腺腫、乳腺症、急性乳腺炎、乳頭異常分泌症など

 5.血管疾患

    腹部大動脈瘤、閉塞性動脈硬化症、バージャー病、下肢静脈瘤、深部静脈血栓症、
急性動脈血栓・塞栓症など

 6.ヘルニア

    成人のヘルニア(鼠径ヘルニア、大腿ヘルニアなど)
小児のヘルニア

 7痔疾患
    内痔核、外痔核、痔瘻、肛門周囲膿瘍など
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 年次別手術症例数の推移
   ここでは当科における最近7年間の手術数の年次別推移をお示しします。
手術数は「医療の質」を推し量る最も良い指標であると考えられています。
当院は、気仙沼医療圏の中核病院である性格上、圏内で発生した外科疾患の
かなりの数が当科に集まります。従って、表に示すように発生頻度の多い疾患は
手術数が多く、少ない疾患は手術数が少ない結果となり、
ある特定の疾患だけに偏ったものではありません。言い換えると、地域医療の性格上、
来院したあらゆる病気に対処することが求められているとも言えます。

  最近の傾向では、当科には麻酔科医がいないこと、小児外科の専門医がいないことを
患者・家族に率直にお話するようになった平成16年から小児ヘルニアの手術数が
激減いたしました。その多くは仙台の小児外科専門病院を受診希望し
手術を受けています。近年、乳癌症例が増加していますが、
外来にて担当医より「当科には乳癌だけの専門医はいない」旨の説明をしたところ、
かなりの症例が仙台市内の病院での手術を希望するようになりました。
患者さんの選択なのでこれは仕方がないことだとは思いますが、
後述するように、当院の乳癌治療の成績は全国水準に決して劣るものではなく、
国立がんセンター中央病院乳腺外科よりも良好な程です。
このような所に
オールラウンドな外科医をめざす気仙沼市立病院の伝統」が息づいています。

 
H.11
H.12
H.13
H.14
H.15
H.16
H.17
甲状腺の手術
29
37
22
15
16
21
7
うち甲状腺癌の手術
18
22
8
7
6
4
3

乳腺の手術
28
30
40
42
48
50
72
うち乳癌の手術
23
30
34
36
40
40
39
乳房全摘術
20
28
31
36
38
35
36
乳房温存手術
3
2
3
4
2
3
1

呼吸器外科
19
13
17
9
16
14
5
うち肺癌の手術
13
11
11
6
10
3
0

食道の手術
16
12
9
7
7
6
7
うち食道癌の手術
14
12
9
7
7
5
6

胃の手術
88
89
63
76
87
75
74
うち胃癌の手術
70
73
57
65
66
45
62

胆石症の手術
99
107
104
103
126
94
74
胆嚢結石症
74
79
76
78
102
68
54
うち鏡視下手術
34
40
37
33
23
21
19
総胆管結石症
25
28
24
22
24
24
20

膵・胆嚢・胆管癌の手術
10
10
11
11
8
8
9

肝臓癌の手術
8
10
17
11
5
5
2
大腸癌の手術
57
35
36
41
39
41
38
直腸癌の手術
28
27
26
22
24
27
26

虫垂炎の手術
29
45
39
32
39
20
22

腸閉塞症の手術
39
46
47
53
35
28
34
腹膜炎の手術
8
13
10
10
15
22
8
痔の手術
5
2
2
5
7
3
1
成人ヘルニアの手術
66
89
68
81
90
66
70
小児ヘルニアの手術
25
22
17
23
16
6
3

腹部大動脈瘤の手術
9
2
8
8
6
5
6
閉塞性動脈硬化症の手術
7
6
5
7
10
7
2
下肢静脈瘤の手術
9
10
9
12
21
7
14

全身麻酔件数
570
585
521
545
552
498
451
腰椎麻酔件数
100
113
104
101
89
53
45
局所麻酔件数
178
151
160
158
173
205
144


 疾患別治療内容・手術成績
@癌の治療

  ・食道癌
    1)食道とは?
 食道はのどと胃をつなぐ管状の臓器で食物の通るところです。
食道は部位により頚部食道、胸部食道、腹部食道と呼びますが、
最も長い胸部食道に癌が発生することが多いようです。
従来、食道癌は治すことが非常に困難な癌でした。
それは食道が周りを心臓、大動脈、肺、気管などに囲まれており、手術が大変難しい
位置にあるからです。しかし、先人医師たちの大変な努力と果敢に手術に挑んだ結果、
手術による治癒率が45%前後と向上してきています。
    2)食道癌の治療
 食道癌の治療では、病気の進行度や体の状態によって治療法を選びます。

@内視鏡的治療
 癌が食道の粘膜という表層にとどまっている早期の段階では
内視鏡による切除が可能です
。喉を麻酔し内視鏡を胃内に挿入します。
そして癌部に生理食塩水を注入して病変部を盛り上がらせ
電気メスにて癌を切除します。

A内視鏡治療の実績・治療成績
 ただ今、準備中です。もうしばらくお待ちください。

B手術による治療
 癌がある程度進行し内視鏡による治療ができないときには
手術による治療が必要です
。胸部食道は周りを心臓、大動脈、肺、気管などに
囲まれるなど、手術が難しい位置にあります。
また、食道の切除に伴い胃を用いた再建手術も併せて行うことが必要なので、
手術は開胸に加え、開腹、および頚部の手術も必要となります。
手術に必要な時間は平均7〜8時間と長時間を要し、
かつ大掛かりなものです。従って、患者さんの体におよぶ影響は甚大で、
生命の危険が大きい手術です。しかし、手術法や回復のための治療法の進歩により、
約30年前では完治する確率は10〜20%だったのが、
現在では40〜50%と飛躍的に改善しています

これに加え、最近の研究では手術の前に抗癌剤治療を行なうと、
さらに10%前後の治癒率の改善が得られる
ことが明らかとなってきており、
今後に期待されています。
 近年、小さな傷で治療できる内視鏡を用いた鏡視下手術が
東北大学病院で行なわれています。この手術は開胸開腹手術に比べ痛みが少なく、
術後の呼吸機能の温存に有利である利点がありますが、手術時間が長く、
一部の医師にしかできないという欠点もあります。
当院では、手術の安全性を重視しこの方法は行なっていません。
C手術以外の治療法
 また、高齢であったり心臓や肺などの機能が弱く手術には耐えられない場合や、
どうしても手術を受けたくない方は、
化学療法に放射線療法を加える治療により一定の効果を上げることができます
抗癌剤の副作用や放射線障害の心配はありますが、
この治療により約35%の完治率が得られます。

   

D当科の治療成績
 平成7年から17年までの11年間に、当科では95例の食道癌切除を行ないました。
癌の進行のために完全に切除できなかった5例を除く90例に対し、
完治を期待できる手術を行うことができました。
  癌の進行度別では、0期8例、I期13例、II期28例、III期28例、IVA期12例でした。
その手術の成績は、5年生存率でみると、0+I期67.3%、II期46.6%、III期31.6%、
IVA期20.0%、であり、全体の症例では43.8%でした。
0+I期の成績が低めに出ましたが、合併症による在院死亡例が多かったことが
その原因と考えています。全国での成績は、5年生存率41.7%とされており、
当院での成績(43.8%)と同等です。
ですから当院の食道癌手術成績は全国水準の治療であると言えます。

 食道癌の治療成績

病期
当院の5年生存率
0+I 期
67.3%
II 期
46.6%
III 期
31.6%
IVA期
20.0%
全体で
43.8%
  全国の病院での治療成績と同等の結果でした。当院の食道癌治療は
全国レベルといえます。
  術前化学療法を行うことで、さらに治療成績が改善するものと考えています。

E当科での手術の危険性、死亡率
  手術のために術後1カ月以内になくなった方はいませんでした。
しかし合併症によって一度も退院できずに亡くなった方を7例(7.8%)認めました
死亡原因別では、肺炎が3例、脳梗塞が1例、
縫合不全から敗血症となったものが3例でした。
   

  ・胃癌
  1)胃癌とは
 日本人の癌の中で最も多い胃癌について説明します。
胃癌は胃壁のもっとも内側にある胃粘膜から発生する癌で、
進行すると次第に外側や内側に増大し様々な症状を引き起こすとともに、
他の臓器やリンパ節にも転移をおこします。治療上、癌の早期発見は大変重要で、
癌検診などによって早期癌の数は増えていますが、
必ずしも早期発見できるわけではありません。
 胃癌の治療法には手術による治療、抗癌剤による治療がありますが、
現在のところ抗癌剤のみで胃癌を完治させることは不可能で、
癌を治すためには癌巣を切除することが必要です。
アガリクス、丸山ラクチンその他の免疫療法については医学的な根拠がなく
効果は疑問です。

2)胃癌の治療

@内視鏡的治療
 癌が胃の粘膜にとどまり、細胞の悪性度が低く、
潰瘍を伴わない2cm以下の病変に対して、
内視鏡的粘膜切除術(endoscopic mucosal resection:EMR)を行います。
それ以上の病変に対しては、手術療法を行うのが標準的な考え方です。

A内視鏡治療の実績・成績
   ただ今、準備中です。もうしばらくお待ちください。

B外科的治療(手術)
 当科では年間約60〜70例の胃癌手術を行っています。
癌の存在部位により、胃全摘術、幽門側胃切除術(十二指腸側2/3程度の胃切除)、
噴門側胃切除術(食道側1/2程度の胃切除)などが行われ、
それに加えリンパ節郭清が行われます。また、癌が他臓器に直接およぶ場合は、
完治が望める場合は臓器の合併切除を行う拡大手術を行ないます。
 最近、全国的には適応症例を限って鏡視下(内視鏡的)手術が試みられていますが、
当科ではこの方法は行っておらず、全例開腹による手術を行っています。
これは、鏡視下手術の安全性が確立されていないことと、
手術の有効性が確立されていないことなどが理由です。
    3)当院での手術実績
 平成7年から17年までの11年間に当科で手術を行なった胃癌症例は682例でした。
癌の進行によって切除しきれなかった89例を除く593例(87%)に
完治を望める手術を行いました。癌の進行度別では、IA期290例、IB期101例、
II期68例、IIIA期58例、IIIB期33例、IV期42例でした。
癌の部位および癌の進行度によって手術法は異なりますが、
噴門側胃切除が5例、胃全摘術が138例、幽門側胃切除術が305例、胃部分切除術が4例、癌の進行によって他臓器を合併切除したものが143例
(胃全摘・摘脾術が85例、肝転移を同時に切除したものが3例)でした。

4)治療成績

 当院での術後の5年生存率は、IA期93.4%、IB期87.7%、II期70.4%、IIIA期50.0%、
III B期28.2%、IV期12.6%でした。
全国集計による5年生存率は、IA期93.4%、IB期87.0%、II期68.3%、
IIIA期50.1%、IIIB期30.8%、IV期16.6%ですから、当院の成績は全国水準といえます

胃癌の治療成績(5年生存率)

病期
当院の5年生存率
全国の成績
I A 期
93.4%
93.4%
I B 期
87.7%
87.0%
II  期
70.4%
68.3%
III A期
50.0%
50.1%
III B期
28.2%
30.8%
IV 期
12.6%
16.6%

5)手術の危険性、死亡率

 術後1カ月以内の手術直接死亡例は4例(0.9%)でした。
死亡原因別では、非閉塞性腸管虚血症から多臓器不全となったものが1例、
吻合部縫合不全から敗血症になったものが2例、肺炎から敗血症になったものが
1例でした。また、在院死亡例は手術直接死亡例を除くと3例みられました。
その原因は、急性心不全が1例、肺炎から敗血症をきたしたものが1例、
膵切除断端部から膵液瘻をきたし敗血症となったものが1例でした。
   

  ・大腸癌・直腸癌
   近年、大腸癌、直腸癌は増加傾向にあり、高齢化とともに手術の数も
増えてきています。健康診断では便潜血反応検査(検便検査)を行っていますが、
潜血反応陽性者の中に大腸癌、直腸癌の患者さんが見つかることが多いので、
積極的に検査を受けるのが良いと考えられます。
 この癌も治すためには内視鏡あるいは手術で癌を切除することが必要な病気です。
抗癌剤治療も一定の効果があることがわかってきていますが、
これだけで病気を治すことはできず、抗癌剤治療は手術の前あるいは後に
手術の効果を高めるために行うのが一般的です。

1)大腸・直腸癌の治療法

@内視鏡的治療
 癌が大腸・直腸の粘膜にとどまっている病変に対しては
内視鏡的粘膜切除術(endoscopic mucosal resection:EMR)を行い
完治させることができます。
それ以上の病変に対しては、手術療法を行うのが標準的な考え方です。

A内視鏡治療の実績・成績
 ただ今、準備中です。もうしばらくお待ちください。

B外科的治療(手術)
 大腸癌の場合、病巣から約10cmの正常な大腸とその領域のリンパ節を
扇状に切除するのが治療の原則です。
そして、大腸同士をつなぎ合わせます(これを吻合といいます)。
 直腸癌の手術では、人工肛門になるかが心配されます。
人工肛門が必要かどうかは、癌のできた場所が肛門に近いかどうかや、
癌の大きくなり方で決まると考えてよいと思います。
最近の手術法の進歩で、肛門から5〜6cmより中にできた場合は肛門の温存が可能
なってきています。それより肛門側の場合は
癌をとり残さないように肛門を含めて直腸を全摘する方がよいでしょう。
仮に人工肛門となっても、十分に訓練をすれば人工肛門をつけた状態で
日常生活は以前とほぼ同じに過ごすことができます。
病気を治すためには、前向きな気持ちで手術を受けることが大切です。
 また大腸癌・直腸癌は、特に肝臓に転移をおこしやすい癌であることが
知られています。経過中に約20%の方が肝転移をきたすとされています。
以前は、肝転移を治すことはできないと考えられていましたが、
1980年頃から肝転移の場合でも切除をすれば治ることがわかり、
現在では切除可能な肝転移には積極的に手術を行なうようにしています
また、直腸癌が高度に進行し周囲の臓器に及んだ場合でも、
生活の質(QOL)は低下しますが、
骨盤内臓全摘術という方法で癌の全摘出を目指すようにしています。
   
2)当院での手術実績

 平成7年から17年までの11年間に当科で手術を行なった
大腸・直腸癌症例は667例でした。667例のうち、開腹したところ
高度の進行のため切除できなかった57例を除く610例に

3)治療成績
 大腸癌の術後の5年生存率は0−I期83.7%、II期80.8%、IIIa期68.3%、
IIIb期65.7%、IV期44.7%であり、直腸癌の術後の5年生存率は
0−I期88.7%、II期79.8%、IIIa期63.1%、IIb期43.6%、IV期18.2%でした。
 全国の成績は、大腸癌の5年生存率は0期94.8%、I期90.6%、II期83.6%、
IIIa期76.1%、IIIb期62.1%、IV期14.3%であり、直腸癌では0期92.9%、
I期89.3%、II期76.4%、IIIa期64.7%、IIIb期47.1%、IV期11.1%とされています。
 当院の成績は 0−I期において若干低い傾向がありますが、
その他の病期ではほぼ同等の成績であり、
大腸癌IV期ではむしろ全国平均を大きく上回っているという結果でした



 大腸癌の治療成績(5年生存率)

病期
当院の5年生存率
全国の成績
0−I 期
83.7%
92.7%
II  期
80.8%
83.6%
III a 期
68.3%
76.1%
III b 期
65.7%
62.1%
IV  期
44.7%
14.3%

 直腸癌の治療成績(5年生存率)

病期
当院の5年生存率
全国の成績
0−I 期
88.7%
91.6%
II  期
79.8%
76.4%
III a 期
63.1%
64.7%
III b 期
43.6%
47.1%
IV  期
18.2%
11.1%
4)手術の危険性、死亡率 
 手術直接死亡例は3例(0.4%)でした。これら3例はすべて心筋梗塞
あるいは致死的不整脈による循環器疾患によるものでした。
また、在院死亡例は手術直接死亡例を除くと10例でした。
その死亡原因は肺炎が2例、敗血症が2例、癌死が6例でした。
   

  胆管癌胆嚢癌十二指腸乳頭部癌
     これら胆道系悪性腫瘍は黄疸の症状で発症することが多く、他の消化器癌と同様に、
手術で癌と周りの転移の恐れのあるリンパ節を切除することが必要です。
胆道系は周りに、肝臓、膵臓、門脈、肝動脈といった体の急所となる臓器があり、
手術は手術時間も長く出血量も多い肝切除や膵頭十二指腸切除など
生命の危険の高い手術が必要となります

また、黄疸がある状態というのは肝臓が極めて弱っていることを意味しますが、
黄疸の高い状態で手術を行うと、術後に肝臓が働けなくなってしまい
(このことを肝不全といいます)生存が困難となります。
従って、癌を切除する手術の前には、まず、黄疸を下げて
肝臓を元気にする治療が必要となります
。PTCD(肝臓の中に管を刺して
胆汁を体外に流し出す方法)などによって十分に黄疸を下げるようにし、
その後に癌を治す手術を行うようにします。
 平成7年から17年までの11年間に、当科で手術を行った胆道系悪性腫瘍は59例で、
胆管癌33例、胆嚢癌16例、十二指腸乳頭部癌10例でした。



(1) 胆管癌
 癌の発生部位は、肝門部・上部胆管癌11例、中部胆管癌15例、
下部胆管癌7例でした。行った手術は、肝切除を伴う胆管切除が8例、
胆管切除が11例、膵頭十二指腸切除が12例、膵全摘術が2例でした。
癌の進行度別ではI期3例、II期10例、III期10例、IVA期7例、IVB期2例でした。


 手術成績をみると、手術直接死亡例はありませんでしたが、
1例(3.0%)が術後2ヶ月で肝不全で在院死しました。全体での術後の生存率は、
1年生存率74.3%、2年生存率49.3%、3年生存率41.1%、5年生存率28.2%でした。
 胆管癌の治療成績
 
1年生存率
74.3%
2年生存率
49.3%
3年生存率
41.1%
5年生存率
28.2%


(2) 胆嚢癌
 11年間に16例の胆嚢癌手術を行ないましたが、うち2例が胆石症に対して
胆嚢摘出術を行った後の病理検査で胆嚢癌と診断され、再手術を行なったものでした。
施行した手術では、肝切除を伴う手術を5例に行ない、拡大胆嚢摘出術を行なったのは11例でした。いずれも胆管切除術を併施しました。
病期別では、I期6例、II期1例、 III期6例、 IVA期3例でした。
術成績では手術直接死亡例、在院死亡例は認めませんでした。
術後の生存率は、1年生存率81.3%、2年生存率62.5%、3年生存率42.9%、
5年生存率42.9%でした。全国の成績は5年生存率で42%と報告されています。
当院の症例数は決して多くはありませんが、全国水準の成績です

 胆嚢癌の治療成績
 
1年生存率
81.3%
2年生存率
62.5%
3年生存率
42.9%
5年生存率
42.9%


(3)十二指腸乳頭部癌
  11年間に10例の十二指腸乳頭部癌を経験し、全例に膵頭十二指腸切除術を
行ないました。病期別ではI期3例、III期6例、IVA期1例でした。
 手術成績では手術直接死亡例は認めませんでしたが、2例〔20%〕の在院死亡例を
認めました。1例は、肺炎から敗血症をきたしたもので、
もう1例は肝不全にて亡くなったものでした。
術後の生存率は、1年生存率70%、2年生存率60%、5年生存率33.3%でした。

 十二指腸乳頭部癌の治療成績
 
1年生存率
70.0%
2年生存率
60.0%
3年生存率
33.3%
5年生存率
33.3%

   

  ・膵臓癌
    1)膵臓癌とは
 膵臓は体の最も深いところにある臓器で、癌の性質も極めて悪性なので
治すことが最も難しい癌であると考えられています。
検診などで偶然に腫瘍が見つかる稀な場合を除けば、早期の発見は困難で、
多くは切除不能か切除できても進行癌であることが多いのが実情です。
最近、ジェムザールという新しい抗癌剤が効果があるといわれていますが、
結局のところ、この薬でも膵臓癌を治すことはできません。
やはり、他の消化器癌と同様に手術によって癌を完全切除することが必要です
 手術の方法は癌の発生部位や癌の進行度によって異なりますが、
膵頭十二指腸切除、膵体尾部切除兼脾摘術、膵全摘術が状況に応じて選択されます。
膵臓には門脈、肝動脈、上腸間膜動脈という重要な血管が周りに存在するため、
これらに癌が及んでいる場合には血管を一緒に切除しそれを再建しないとならず、
手術はさらに高度な技術が必要となるとともに、手術後の合併症、
特に血管からの大出血によって致死的となる危険が増します。
また、膵臓の切除後には膵炎や縫合不全を起こし易く、
腹膜炎や敗血症などの致死的合併症に至る危険も高いと考えられます。
膵臓癌の手術はかなりの危険を伴いますが、十分に病状を説明してもらい
納得のもとに手術を受けられるのが良いでしょう。

2)
膵臓癌手術の実績
 平成7年から17年までの11年間に、当科では31例の膵癌切除手術が行われました。
癌の占拠部位別では、膵頭部から発生したものが23例、
膵体尾部からのものが8例でした。手術術式別では、膵頭十二指腸切除術が22例、
膵体尾部切除術が6例、膵全摘術が3例に行われました。
癌の進行が高度で、門脈合併切除再建術を併施したものは11例、
総肝動脈切除再建術を併施したものが2例含まれました。
癌の進行度別では、I期はみられず、II期1例、III期が13例〔41.9%〕、
IVA期11例〔35.5%〕、IVB期6例〔19.4%〕と進行したものがほとんどでした。
肝転移を認めたものが2例あり、肝部分切除術を同時に行いました。

3)治療成績
 術後の生存率は、1年生存率45.2%、3年生存率25.1%、5年生存率16.7%でした。
本邦における膵癌の全国成績は、膵頭部癌の5年生存率が13.0%、
体尾部癌が18.2%ですから、当院の成績はこれに相当するものであり、
全国水準の治療であると言えます。
 膵臓癌の治療成績
1年生存率
45.2%
3年生存率
25.1%
5年生存率
16.7%
全国の成績
膵頭部癌 13.0%
膵体尾部癌 18.2%

4)手術の危険性・死亡率

 術成績では手術直接死亡例が1例(3.2%)みられました。
死亡原因は非閉塞性腸管虚血症による敗血症でした。
また、術後の合併症や癌の急速な進展によって1度も退院できずに亡くなった
在院死亡例は手術直接死亡例を含め6例〔19.4%〕認めました。
その内訳は癌死が2例、肺炎から敗血症をきたしたものが1例、
腹腔内膿瘍から敗血症をきたし多臓器不全となったものが2例でした。
   

  ・肝癌(原発性転移性
   
原発性肝癌
1)原発性肝癌とは
  原発性肝癌の多くはB型肝炎、C型肝炎に続発することが多く、
慢性肝炎、肝硬変といった肝臓に余力が少ない患者さんが多いという背景があります。
基本的には癌を切除するのが治癒率の観点からは最も効果があるとされていますが、
切除できる肝臓の量が慢性肝炎、肝硬変の存在下では限られるので、
切除可能な場合は手術を第一に選択しますが、
腫瘍が多発性に広い範囲に広がっていたり、腫瘍が大きくて大量の肝切除が
必要なために術後に肝不全の発症が危惧されるなど手術が危険と考えられる場合は、カテーテルを用いて癌組織に抗癌剤を高濃度に投与する治療を選択するように
しています。
2)手術実績
  11年間に11例の症例に対して12回の肝切除術を行いました。
手術術式別では拡大肝右葉除術1例、肝区域切除術3例、肝部分除術6例でした。
これらの症例で、手術直接死亡例、在院死亡例は認めませんでした.。


転移性肝癌
1)転移性肝癌とは
 大腸癌、直腸癌などの癌が肝臓に転移をきたしたものを転移性肝癌といいますが、
以前にはこの状態は癌の末期状態として考えられ
積極的な治療の対象にはなりませんでした。
昭和60年頃から肝臓の転移でも
@おおもとの癌が完全に切除されている、A肝臓以外に転移がみられない場合は、
切除によって完治も期待できることがあるとの考えが広まり、
積極的に切除が試みられるようになってきました。
われわれもこの考えに従い積極的に転移巣の切除を行うことにしています
しかし、転移の数が多すぎたり、切除によって術後の肝不全の発症が
心配される場合は抗癌剤治療を第一選択にするようにしています。

2)転移性肝癌の手術実績
  11年間に63例の症例に対して71回の肝切除術を行ないました。
原因となった疾患別では、大腸・直腸癌49例、食道癌2例、胃癌5例、
十二指腸平滑筋肉腫1例、胆管癌2例、膵癌2例、直腸GIST 1例、膀胱癌1例でした。
  症例の最も多い大腸・直腸癌では49例の患者に56回の肝切除術を行ないました。
肝転移の出現時期では、主病巣治療と同時性のものが24件、異時性が32件でした。
転移巣の占拠部位別では、片葉が41件、両葉が15件でした。
また、転移巣の個数別では3個以下が38件、4個以上が18件でした。
施行した手術術式は、拡大肝葉切除術2件、肝葉切除術17件、肝区域切除術10件、
肝亜区域切除術2件、肝部分切除術32件(重複あり)でした。
3)治療成績
  最も症例数の多い大腸・直腸癌の肝転移に対する手術成績をみてみると、
術後の生存率は、1年生存率74.8%、2年生存率50.9%、3年生存率28.0%、
5年生存率18.0%でした。
  欧米の1990年以降の論文報告例では、肝切除後の5年生存率は32〜38%でした。
本邦における成績も概ね同様です。これらの成績と比べると当院の成績は
やや劣るようにみえますが手術適応を適正化するなど成績向上を
目指していきたいと考えています。
 大腸・直腸癌肝転移の治療成績
1年生存率
74.8%
2年生存率
50.9%
3年生存率
28.0%
5年生存率
18.0%

4)大腸・直腸癌肝転移の手術危険性・死亡率
 術直接死亡例を2例(3.8%)認めました。
1例は術後の肝不全にて術後7病日に死亡した症例で、
もう1例は肺塞栓症で術後1病日に死亡した症例でした。
これら手術直接死亡例を加えた4例(7.1%)が
一度も退院できずに亡くなった在院死亡例でした。
   

  ・肺癌(原発性転移性
   
(1) 原発性肺癌
 肺癌には原発性肺癌と転移性肺癌の2つがあります。
原発性肺癌、特に扁平上皮癌という種類の癌は喫煙、
大気汚染などが危険因子となることが特に有名ですが、
最近、腺癌という種類の癌が増えることにより、
肺癌は全体としてその数が年々増加しています。
手術があまり有効でない小細胞癌という種類の癌を除く、腺癌、扁平上皮癌、
大細胞癌に対しては、手術が可能であれば手術を第一に治療法として選択します。
これに放射線治療と抗癌剤治療を組み合わせるのが一般的治療です。
 ■ 原発性肺癌の種類
1. 扁平上皮癌
  喫煙が癌の発生に関係していることで有名。
2. 腺癌
  喫煙とはあまり関係ないが、
最近増加していることによって肺癌患者が増加している。
3. 大細胞癌
  発見された時にはかなり進行した状態のことが多いが、
状況によっては手術によって完治させることができる。
4. 小細胞癌
  進行が早く、手術によって完治が期待できない癌。
一方、抗癌剤が効きやすく効果によって延命が期待できる。
 手術は癌の進行度および発生部位によって肺全摘術を行うか
葉切除(片側肺の3分の1から3分の2の切除)で済むかが決まります。
特に、肺全摘術が必要な場合では術後の呼吸困難や肺炎などの
術後の致死的合併症の心配が高いのですが、肺癌は手術以外では治せないので、
医師より手術の危険性については十分に説明を受けた上で、
勇気を持って手術を受けられるのが望ましいと考えています。

1)原発性肺癌の治療実績
 平成7年から17年までの11年間に行われた呼吸器外科手術症例は138例で、
疾患別では、原発性肺癌60例、転移性肺癌25例、自然気胸39例、
その他の肺疾患4例でした。手術術式別では、片肺全摘術9例、肺葉切除術75例、
肺部分切除術58例〔重複を含む〕が行われました。
原発性肺癌で手術が行われた60例を組織型別にみると、腺癌29例、扁平上皮癌24例、大細胞癌3例、小細胞癌1例、粘表皮癌1例、腺扁平上皮癌2例でした。
癌の進行度では、IA期19例、IB期9例、IIA期4例、IIB期7例、IIIA期11例、IIIB期3例、
IV期1例であり、これらに対して片側肺全摘術8例、肺葉切除術53例、
肺部分切除術23例(重複あり)が行われました。

2)原発性肺癌の治療成績
 術後の5年生存率は、IA期54.1%、IB期52.8%、II期30.0%、IIIA期6.7%で、IIIB期、IV期に
生存例は得られませんでした。白日らがまとめたわが国の全国集計では、
IA期79%、IB期60%、IIA期59%、IIB期42%、IIIA期28%、IIIB期8%と報告されています。
当院の成績は全国集計の成績に比して若干低い結果でありました。
この理由は不明ですが、当院では高齢者が多い傾向があることや、
遠隔転移の評価が十分でなく病期を過小に診断していた可能性などが考えられました。

 肺癌の治療成績(5年生存率)
病期
当院の5年生存率
全国の成績
I A 期
54.1% 79%
I B 期
52.8% 60%
II A期
30.0% 59%
II B期
42%
IIIA期
6.7% 28%
IIIB期
0% 8%

3)手術危険性・死亡率
 60例中2例〔3.3%〕が手術後1カ月以内に合併症が原因で亡くなりました。
死亡原因は、術後早期の肺塞栓症が1例、腹腔動脈血栓症による
多臓器不全が1例でした。またこの2例を含めて3例〔5.0%〕が退院できずに
亡くなっています。重篤な合併症としては気管支断端縫合不全を2例〔3.3%〕に
認めました。うち1例が膿胸から敗血症をきたし術後2ヶ月で死亡しました。

4)肺癌の抗癌剤治療
  ただ今、準備中です。もうしばらくお待ちください。


(2)転移性肺癌
 移性肺癌は大腸癌、直腸癌など他に癌の病気があり、
これが肺に転移を起こしたものです。以前は、もう末期の癌であると
考えられていましたが、@おおもとの癌が完全に切除されている、
A肺以外に転移がみられない場合は、手術によって癌が完治することもあることから、
手術によって完治が期待できる患者さんには切除術を行うことがあります。
しかし、転移の数が多すぎてすべてを切除できない場合は
抗癌剤治療を考えるようにしています。
特に、両肺に転移があり切除術を行う場合は、術後の肺合併症が心配され、
また、全例人工呼吸器による治療が必要となるなど、
生命の危険が高い治療ですので、十分に医師と相談の上で
手術を受けるかどうかをお決めになるのが良いと思われます。

1)転移性肺癌の手術成績
 原疾患別では、大腸・直腸癌14例、乳癌3例、肺癌4例、食道癌1例、尿管癌1例、
骨肉腫1例、原因不明の癌1例でした。これらに対して、一期的両側開胸による切除術を
6例(うち胸骨横切開による両側開胸術を5例に施行)に、14例に対して片側開胸による
切除術を行ないました。術式別では肺全摘術2例、肺葉切除術17例〔重複あり〕でした。
これらの症例で手術直接死亡例、在院死亡例を認めませんでしたが、
両側開胸例では全例に人工呼吸器を必要とし、離脱までに平均14日間を要しました。
   

  ・乳癌
    1)乳癌治療の考え方
 乳癌治療の基本は、腫瘍の十分な切除とリンパ節郭清を行う手術療法に、
女性ホルモンを抑えるホルモン療法、抗癌剤治療を組み合わせることです。
手術には乳房を全摘する方法と乳房を温存する手術があります。
従来では全例乳房を全摘する手術が行われましたが、欧米で乳房温存手術が盛んに
行われるようになり、わが国でも20年ほど前から乳房温存療法が行なわれ始め、
現在約60%の乳癌患者さんが温存治療を受けています。

2)乳房全摘か?温存治療か?

 全摘手術か温存手術かを選択するには、
それぞれにメリット、デメリットがあることを知る必要があります。
@ 全摘手術の方が局所再発が少ない
A 温存治療だけでは残存乳房に約30%の確率で再発が起きるので、
術後の放射線治療が必要。
これによって再発は5年で3%まで減らすことができる。
しかし、温存治療の方が癌が良く治るということではない。
B 長期の生存率では全摘手術も温存手術も同等と言われているが、
温存治療の後に局所再発をきした場合は改めて全摘手術を行う必要がある。
C 全摘手術の後に一定期間経てば、乳房再建手術を受けて乳房のふくらみを
取り戻すことは可能である。
など。
 気をつけなければならないのは、無理に乳房を温存することで
癌を取り残してしまう危険性がある
ことです。
乳房は温存したけれど癌も取り残してしまったのでは癌を治すことはできません。
ですから、癌を完治させるためという観点では、いくつかの条件をクリアした場合に
乳房温存療法は行われるべきと考えています。
日本乳癌学会のガイドラインによると、
@ 腫瘍の大きさが3cm未満であること
A 乳頭と近すぎないこと
B いくつもの乳癌が多発していないこと
C リンパ節転移はないか、あっても少ないこと
が一つの基準と考えています。
 最近、他の施設ではこの基準がかなり緩められ、無理な乳房温存療法が
増加しつつある
ようです。このことには気をつけなければなりません。
具体的にどういうことかというと、乳房の変形を少なくするために
十分な乳腺の切除をしなかったり、リンパ節の切除を十分にしなかったりなどです。
これらの不備を放射線治療や抗癌剤治療で補おうとする施設も増えてきています。
今のところ、その弊害は表立ってはいませんが、
近い将来には温存治療での高い再発率、生存率の低下などの心配が残ります
なぜなら、全身に再発してではもう完治はできないからです。

3)手術の実績

 平成4年から平成17年の14年間に行った手術件数は597例でした。
平均年齢は56.4歳でした。
 手術術式の内訳としては、乳房全摘術が乳癌手術の9割を占めており、
乳房温存手術は約1割でした。手術術式はすべて患者さん本人の
インフォームド・コンセントを基にした選択によりますが、
他施設に比べると乳房温存手術の割合が少ない結果でした。
その理由は、
@ 乳房温存療法では放射線療法が必要で、
放射線治療に対する恐れの気持ちがあること
A 放射線治療を受けなければ約30%、放射線治療を受けても約10%の
局所再発の心配があること
B 局所再発の心配があるのならば、
乳房全摘手術をうけて精神的にすっきりしたい
などでした。
 しかし、平成21年には乳房温存手術を希望される方が、
全体の30%まで増加しており、これから当院でもこの方法が増えるものと考えています。
病期別にみると、0期16例、I期256例、IIA期145例、IIB期97例、IIIA期20例、IIIB期26例、
IV期20例でした。

4)治療成績
 各病期別の5年生存率および10年生存率はそれぞれ、病期I期96.4%、89.9%、
IIA期88.5%、86.9%、IIB期87.5%84.4%、IIIA期79.3%、79.3%で、IIIB期60.3%、48.3%、
IV期では24.3%、24.3%でした。国立がんセンター中央病院のホームページによると、
国立がんセンター中央病院乳腺外科では1704例の乳癌手術症例の成績を
5年生存率でI期90.6%、II期78.6%、IIIA期64.1%、IIIB期33.0%、IV期10.9%であると
公開しています。一概に比較できませんが、当院の成績は5年生存率において
国立がんセンター中央病院の成績をしのいでいる
と考えられました。
加えて、平成18年12月5日に日本経済新聞社が乳癌治療ランキング表を発表
しましたが、上位30病院の成績と比較しても特別に劣るものではありませんでした
当院では乳腺専門医といわれる医師の常勤はなく、
消化器外科を専門とした一般外科医が乳癌診療を併せ行っています。
これからますます増加することが予想される乳癌治療においても、当科は乳癌死を
できるだけ出さないという点において水準以上のレベルと考えられます


乳癌の術後の生存率


病期
5年生存率
10年生存率
I 期
96.4%
89.9%
IIA期
88.5%
86.9%
IIB期
87.5%
84.4%
IIIA期
79.3%
79.3%
IIIB期
60.3%
48.3%
IV期
24.3%
24.3%


5年生存率


病期
当院の5年生存率
国立がんセンター
I 期
96.4%
90.6%
IIA期
88.5%
78.6%
IIB期
87.5%
IIIA 期
79.3%
64.1%
III B期
60.3%
33.0%
IV期
24.3%
10.9%


5)手術の危険性・死亡率
 治療成績をみると2例の在院死亡例を認めました。死因はいずれも肺塞栓症で
1例は術後4日目に亡くなり、1例は退院予定前日に亡くなっています。
   

  ・甲状腺癌・癌を疑う甲状腺腫
    1)「甲状腺」の病気
  乳癌検診などで偶然に甲状腺の異常を指摘される場合が多くなっています。
「甲状腺」という病気があるのではありません。甲状腺の異常を大きく分けると、
甲状腺癌、甲状腺腫、腺腫様甲状腺腫のようにしこりを作る病気と、
慢性甲状腺炎(橋本病)のようにだんだん甲状腺機能が低下していくため、
甲状腺ホルモンを補う薬を飲む必要性が出てくるかどうかの病気や、
甲状腺機能亢進症(バセドウ病)のように甲状腺の働きが異常に強いために
薬で抑える必要がある病気に分けられます。これらの診断は、
採血の検査とレントゲン検査、超音波検査で大体の診断が可能です。

2)甲状腺癌
 甲状腺癌はほかの癌に比べると進行も遅く、
すぐに命にかかわることの少ない癌です。しかし、放置すると傍にある気管や食道、
頚動脈、声を出す神経(反回神経)に癌が及んでしまい
さまざまな症状を引き起こしたり、全身に転移をおこせば命にかかわってきます。
よって、癌と考えられる腫瘍の場合は手術で切除するのが良いと考えています。
良性か癌かの判断に迷う場合は定期的な検査によって経過を観察し、
やはり癌の疑いが強いと考えられる場合には手術を勧めるようにしています。

3)手術の実績

 甲状腺の手術は全身的な影響が少ない手術ですが、全身麻酔が必要ですし、
甲状腺の全摘が必要な場合は一生、甲状腺ホルモン剤の服用が必要です。
また、甲状腺のすぐ後ろには声を出す反回神経があり、
手術時に触るために麻痺を起こし声がかすれてしまうことや、
甲状腺のそばにある上皮小体(副甲状腺)の働きが弱くなってしまい、
血液中のカルシウムの値が下がり手がしびれたり、
こわばったりの症状が出る危険があります。
手術を受ける際はよく医師と相談の上でお決めくださると良いと思います。
  平成11年から17年の7年間に、当科では68例の甲状腺癌の手術を行ないました。
うち、1例が切除不能で術後1年6か月に癌死した他は癌による死亡例がありません。
また、1例で術後1日目に脳梗塞を発症し、術後2年で肺炎により在院死しています。


H.11
H.12
H.13
H.14
H.15
H.16
H.17
甲状腺の手術
29
37
22
15
16
21
7
うち甲状腺癌の手術
18
22
8
7
6
4
3

   


A良性の病気

  ・腸閉塞
    1)腸閉塞とは
 小腸疾患で最も多いのは腸管癒着症、腸閉塞症です。
「癒着を起こす」ということはどういう事なのだろうと皆さん疑問をお持ちと思います。
実は、開腹手術を受けたことのある患者さんのお腹の中では、ほぼ100%の確率で
腸のどこかはお互いにくっつき合って、腸が曲がったり、
多少なりとも捻じれた状態となっています。これが癒着です。
癒着があるかどうかは外から見たり、レントゲンをみたり、CT検査をしても分かりません。
また、困ったことに癒着は一度起こると自然に溶けたりはしません。
多くは、この状態でも日常生活が障害されることは少ないのですが、
消化の悪いものを食べたり、暴飲暴食によって一度に多くの食べ物が
癒着箇所に集まると腸は目詰まりを起こしてしまい、腸の中身は通っていかず、
お腹が痛くなり、お腹はふくれ吐くようになります。これが腸閉塞です。
場合によっては、腸が捻れたり(腸捻転)、腸に穴が開いたり(穿孔性腹膜炎)し、
すぐに手術をしないと致死的になることもあります。

2)腸閉塞の治療
@保存的治療:
 腸閉塞となってしまった場合は、まず入院し絶飲食で腸を休ませ、
点滴で体の状態を保ちながら腸の中身が自然に通るようになることを待ちます。
多くは(約3分の2の方)自然に改善に向かいます。

A外科的(手術による):
 なかなか改善しなかったり、何回も腸閉塞を繰り返す場合や、
腸捻転、穿孔性腹膜炎を起こした場合などでは、放置すれば命にかかわるので
手術をしなければなりません。
安全に手術を行うためには手術のタイミングがとても重要で、
担当医との綿密な連携が必要です。次のように年間30~50件の手術を行なっています。


 
H.11
H.12
H.13
H.14
H.15
H.16
H.17
腸閉塞症の手術
39
46
47
53
35
28
34

   


  ・虫垂炎
     「盲腸炎」と俗に言われている病気です。
薬が良くなかった時代には、本疾患が腹膜炎を引き起こし、
それが基で死亡した方が多かったといわれていますが、
今でも、決して安心できる病気ではないことを銘記しておく必要があると思われます。
現在でも病気が悪化して腹膜炎になってしまうことも多く、
早期に病院を受診して適切な治療を受けることが大事です。
また、手術は簡単なものと思っている方がほとんどと思いますが、
虫垂炎の手術は決して簡単なものではなく、
その難しさは外科医でなければ理解できないものかもしれません。
それは虫垂の位置が患者さんによって違い、
手術してみないと正確な場所が判らなかったり、
炎症の程度によって手術が難しくなるからです。

  手術は腰椎麻酔あるいは全身麻酔で行います。
炎症が高度である場合は大きな傷で手術する必要があります。
通常、虫垂切除を行いますが、炎症が高度で膿が大量に貯留していた場合は
大腸を切除したり、手術後に腹膜炎を発症させないためにドレーンという管を
お腹の中に入れる必要が生じます。

  最大の合併症は、手術したにもかかわらず再びお腹の中に膿が貯まってしまうことで、
これを遺残膿瘍といいます。抗生物質が無効な場合は再手術が必要となりますが、
腹膜炎の手術には常に起こりうる合併症であるとの認識が必要と思われます。


 
H.11
H.12
H.13
H.14
H.15
H.16
H.17
腸閉塞症の手術
29
45
39
32
39
20
22

   


  ・胆石症
     胆石症は頻度が高い疾患で、腹痛、発熱、黄疸などの症状で発症します。
胆石のでき方によって
@胆嚢結石(胆嚢の中だけに胆石がある場合)
A総胆管結石(胆嚢だけでなく総胆管にも胆石がある場合)
B肝内結石(胆嚢、総胆管だけでなく肝臓の中にまで胆石ができた場合)
に大別されます。

@胆嚢結石の治療
 治療の基本は胆石を胆嚢とともに切除することです。
胆石だけを切除しただけでは、再び残った胆嚢に胆石ができてしまうからです。
胆嚢を切除すると後遺症が起こるのではないかと心配する人が多いと思いますが、
胆嚢の欠損症状は軽微で、
一時的に下痢をし易くなる人がいますが2〜3ヶ月で治まってしまうのが普通です。
手術は開腹による方法と、腹腔鏡による内視鏡手術があります。
内視鏡手術は傷の痛みも少なく、入院日数も短くて済むなどの利点も大きく
優れた手術法ですが、出血、胆管損傷、肺塞栓など重篤な合併症が多い傾向が
あります。致死率も開腹法に比べると高いといわれています。
また、炎症が高度な場合は、内視鏡手術では手術が困難で、開腹法に移行しないと
手術ができないことがあります。このような場合、われわれは躊躇することなく
開腹法に手術を切り換えて、安全に手術を終えるように心がけています。

A総胆管結石の治療
 胆嚢だけでなく総胆管にも胆石が存在する疾患で、
胆嚢の切除と総胆管結石の摘出が必要です。手術は全例開腹法にて行っています。
総胆管結石は胆管を切開して摘出しますが、石の摘出後に胆管の切開部分に
Tチューブという管を3〜4週間入れておく必要が生じます。
これは、チューブを入れないで胆管の切開部を全部縫ってしまうと、
むくみ等で胆汁の流れが悪くなり、黄疸という重篤な合併症を引き起こしてしまうから
です。従って、入院は術後約4週間の期間が必要となります。
 
H.11
H.12
H.13
H.14
H.15
H.16
H.17
胆石症の手術
99
107
104
103
126
94
74
胆嚢結石症
74
79
76
78
102
68
54
うち鏡視下手術
34
40
37
33
23
21
19
総胆管結石症
25
28
24
22
24
24
20

B肝内結石の治療
 胆嚢、胆管のみならず肝臓の中にも胆石ができる病気で
難病の一つと考えられています。肝臓からどんどん胆石が作られているので、
胆嚢や総胆管の胆石を摘出しただけでは病気はすぐに再発してしまいます。
この場合、胆石のできる肝臓を切除することが必要となります。
肝切除術は出血も多く手術時間も長くかかる大手術です。
それだけ生命の危険も大きな手術となりますが、
肝切除でしか病気を治すことができないので、十分に説明を聞いて納得したかたちで
手術を受けるようにするのが良いと考えられます。

肝内結石症治療の実績
 9年間に21例の手術症例を経験しました。
行った手術術式別では、肝外側区域切除術8例、肝左葉切除術9例、
左尾状葉合併肝左葉切除術1例、右状葉合併肝後区域切除術1例、
肝内側区域切除術2例でした。
これらの症例に手術直接死亡例、在院死亡例は認めませんでした。
   


  ・自然気胸
1)自然気胸とは?
 自然気胸とは肺にブラと呼ばれる袋状の弱い部分ができ、これに穴が開くことによって
空気が肺から漏れてしまい、正常の肺がつぶれてしまう病気のことです。
若い男性と喫煙歴が長い中年以降の男性に多い病気で、高齢化社会が進むにつれて
増加しつつあります。高齢者では、肺に空洞ができる肺気腫という病気が原因の場合が
ほとんどです。この病気は前触れなく発症し、咳・呼吸困難などの症状が出ますが、
重症になると心臓機能も障害され致死的な結果となるので恐ろしい病気であると
考えられます。
 胸部のレントゲン写真で診断がつきますが、
肺のつぶれ具合によっては胸の中にドレーンという管を刺し込んで漏れた空気を
かき出す必要があります。どの位弱い部分があるのかはCTの検査によって
明らかになりますが、両肺にブラがあり両側同時に気胸となると致死的になると
危惧される場合や、何度も気胸を繰り返す場合、ドレーンによる治療で空気漏れが
塞がらない場合は手術が必要と考えています。
 手術は比較的単純なブラの場合は、
痛みが少なくて済む胸腔鏡による手術が可能ですが、ブラの数が多かったり、
複雑なでき方をしている場合は、安全に手術を行うため開胸手術で行うことにしています。

2)手術の実績
 
H.11
H.12
H.13
H.14
H.15
H.16
H.17
自然気胸
6
0
1
3
5
8
3

3)治療成績

  28例中1例〔3.7%〕が再発手術症例でした。両側例が1例みられました。
これらに対して鏡視下肺部分切除術を10例に、開胸による切除術を18例に行いました。
後出血によって再開胸術を1例〔3.6%〕に行いましたが、手術死亡例は認めませんでした。
   


  ・腹部大動脈瘤
 腹部大動脈瘤という病気は、動脈硬化などが原因となり、
心臓から直接出る直径2〜3cmの太さの大動脈という血管がこぶ状に
膨らんでしまう病気です。こぶが小さいうちは特に問題ないのですが、大きくなると破裂を起こし急死することがある恐ろしい病気です。直径5cmを越すと破裂の危険が
急激に大きくなり、5cmを越すといつ破裂しても不思議ではないといわれています。
一度破裂してしまうと、多くの場合は救急車で病院にたどり着く前に死亡してしまい、
運良く手術を受けられても、救命率は約50%と低いのが現状です。

大動脈瘤破裂の恐ろしさ  
動脈瘤はその太さが5cmを超えると、
年に5%の確率で突然に破裂します。
破裂すると大量出血によって
生命が危険になります。
約半数はその場で死亡し
手術を受けることができても救命率は
約50%と低率です。
破裂したときの死亡率は70%を超えるのです。
この病気は、こぶ状に変化した大動脈を人工血管に置き換える手術でしか
治すことができません。手術が必要かどうかの一つの目安は、
動脈瘤の直径が5cmを越す太さであるかどうかですが、動脈瘤となる患者さんは
健康な人に比べて全身の動脈にも動脈硬化の変化が進んでいるので、
手術に伴って心臓、脳などの臓器に大きな負担がかかってしまい、
心筋梗塞、脳梗塞などの合併症の発生率が高く、手術死亡率も4%と高く、
危険が大きい手術といえます。患者さんによっては、動脈硬化の変化が強すぎて
手術に耐えられないという方も多いと思います。
これらの状況をよく理解し、
担当の医師とよく相談の上で治療の方針をお決めくださると良いと思います。


手術の実績
 
H.11
H.12
H.13
H.14
H.15
H.16
H.17
腹部大動脈瘤の手術
9
2
8
8
6
5
6

   


  ・成人のヘルニア
 成人のヘルニア(俗に言う「脱腸」)は加齢などによってお腹の筋肉・筋膜が弱くなり、
弱くなったところからお腹の中とつながっている袋が飛び出してきて、
立ったり力が加わったりした時などにお腹の中の腸などの臓器が
外に飛び出す状態のことです。ただ飛び出すだけならば多少の痛みを感じるだけですが、飛び出した臓器が袋の中でしめつけられたりすると臓器が腐ったりします
(ヘルニア嵌頓といいます)。そうなると腹膜炎を併発しますから、
命が危険な状態となります。何回も脱出を繰り返す場合や痛みを伴う場合などは
手術による治療が適当と考えられます。
  ヘルニアの手術では飛び出した袋を切除し、弱くなった部分を補強するという
2つのことを行う必要があります。最近、手術の痛みを少なくしたり
再発を少なくする目的で、メッシュという人工物を用いる手術が全国的に広まっています。
従来の手術方法では、もともと体に備わっている横筋腱膜弓という部分を用いて
補強を行うのですが、手術後にこの部分が更なる加齢によって弱くなってしまえば
再発をきたすし、手術後一定期間(約2〜3週間)、突っ張る症状をおこすので、
加齢性変化をきたさないメッシュを補強材に用いればそのようなことが
少ないはずだという考えから来たもので、考え方自体は良いと思われます。
しかし、メッシュという人工物が体内に入れられることでの不都合も
生じることがあります。例えば、メッシュが膀胱に突き刺さったり、
傷の難知性の化膿を起こしたり、メッシュが腸と癒着を起こしたり、
異物感が残ったりすることなどです。また、手術方法も、メッシュプラグ法、PHS法、
Kugel法とどんどん見直しがされていることをみると、まだ安全な方法ではない
ということがいえると考えられます。
  これらのことを総合し、現在のところわれわれは、初回の手術時にはまず従来の
メッシュを用いない方法で手術を行い、再発した場合などメッシュ以外に
どうしても補強する方法がない場合はメッシュを用いるようにしています。

手術の実績
 
H.11
H.12
H.13
H.14
H.15
H.16
H.17
成人ヘルニアの手術
66
89
68
81
90
66
70
   


 スタッフ紹介
 ここでは、「医療の質」の判断材料として、スタッフがどのような大学を卒業しているのか、
学位(博士号)・指導医・専門医・認定医などの資格を有しているのか、専門領域は何なのか、所属している学会はどのようなものなのか、これまでに勤務経験のある病院はどんな病院なのかをお示しします。

氏名 (役職)(1)卒業大学、年度、学位 (2)専門領域 (3)所属学会、指導医、専門医、
認定医の有無 (4)経歴(過去の勤務病院)の順にお示しします。

氏 名 (役職)
卒業大学、年度、学位
専門領域
所属学会、指導医、専門医、認定医の有無
経歴(過去の勤務病院)

遠藤渉 (院長)
東北大学 昭和47年卒 医学博士
消化器・一般外科
日本外科学会指導医 日本消化器外科学会指導医 日本臨床外科学会
東北大学第二外科、NTT東北病院など

横田憲一 (副院長)
東北大学 昭和58年卒 医学博士
消化器・一般外科
日本外科学会指導医 日本消化器外科学会指導医 日本臨床外科学会
東北大学第二外科、東北公済病院など

大友浩志 〔科長〕
東北大学 昭和62年卒 東北大学大学院 平成9年卒 医学博士
 

横山成邦 〔科長〕
岩手医科大学 平成9年卒 東北大学大学院 平成17年卒 医学博士
消化器・一般外科
日本外科学会専門医 日本消化器外科学会
東北大学第二外科など

岩根尊 〔医長〕
東北大学 平成11年卒 東北大学大学院 平成19年卒 医学博士
 
 

峯岸道人 〔医長〕  
秋田大学 平成12年卒 東北大学大学院 平成20年卒 医学博士
 
 

石田裕嵩 〔医員〕
山形大学 平成21年卒
 
 

小坂真吉 〔医員〕
 
 
 


阿佐美健吾 〔嘱託医〕
 
 
 


 
『気仙沼市立病院』
〒988−0052  宮城県気仙沼市田中184番地
代表  電話番号:0226(22)7100 
ファクシミリ:0226(22)3121

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